くろくろ便り 鹿児島の正月料理2


伝統の味・豚骨料理


鹿児島の定番料理といえば、黒豚を使った美味の数々。
「豚骨らーめん」もその代表格ですが、歴史の長さでは断トツを誇るのは「豚骨」。
骨付き豚肉を角型に切り、炒めて油抜きをした後に水や焼酎で煮込み、さらに、こんにゃくや大根などを入れて日本酒や砂糖を加えて煮込むとできあがりです。
肉と軟骨ともにとろけそうなほど柔らかく、油気も少ないので女性や高齢の方にも好まれる。まさに「県民食」と言えるでしょう。
さて、鹿児島県本土で正月の料理として豚骨を食べる機会はあまりありませんが、奄美地方では欠かせない存在とされています。
幕末に起きた薩摩藩のお家騒動・お由羅騒動(高崎崩れ)で1850(嘉永3)年に奄美大島に流された名越左源太は、赦免されるまでの5年間のようすを克明に記録している人物です。
その1つに『南島雑話』があり、奄美の食や風習を知ることのできる第一級の史料として知られます。
このなかに、奄美地方の正月料理として豚肉が重宝されていた記録が残されています。年末には各家庭で飼育している豚を捌き、正月には本土とは少し異なりますが、味噌や醤油で味付けした「豚骨」が登場します。
また、来客をもてなす料理として年末に塩漬けして保存食にした塩豚の炊き込みご飯(豚飯:ブタミン)は、現在奄美を代表する伝統料理・鶏飯のもとになったとの説もあるようです。


※ 著:深見聡(長崎大学環境学部准教授)
※くろぶたねっと『鹿児島へいらっしゃ~い』第27回より抜粋

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