くろくろ便り 鹿児島の竹1


日本一の「タケノコ」の産地、鹿児島


「デミョウ・コサン・カラ・モソ 何の事だかわかりますか?」
これは、おいしいタケノコの順番を語呂よく言ったものです。
一番おいしいのは大名竹、次に古参竹、そして唐竹、孟宗竹。
大名竹は大名様が食べるに値するほどおいしいことからその名がついたと言われます。
「タケノコ」というと孟宗竹が一般的で、全国のスーパーで手に入り、おいしいと食べられているものが一番最後に来るぐらい、鹿児島にはおいしいタケノコがたくさんあります。
大きいけれど柔らかい真竹、真夏に食べられる緑竹(りょくちく)、10月頃出る四角竹なんてのもあり、とにかく種類が豊富!
鹿児島は日本一のタケノコの産地です。竹林面積も日本一ですし、種類も豊富。そのため1年中さまざまなタケノコを味わえます。

孟宗竹は春一番に出回ります。孟宗竹を見ると「春が来たなぁ」と思うものです。
でも、この孟宗竹には「早掘りタケノコ」といって、鹿児島では10月頃から食べられるものもあります。
まだ土の中にあるタケノコを地表の地割れや、長年の経験から掘り出します。
綺麗に管理されている竹林にしか育たないので、このタケノコを採るために努力する農家さんも多いです。
黄金色のタケノコハアクが少なく、風味、歯ごたえが抜群で、市場では高値で取引されます。
採れたては刺身でも食べられるほど。
網の上で皮ごと焼くと、甘い香りが漂います。
鹿児島に住む私たちでも手に入りにくい高級品です。

孟宗竹から少し経つと、細い古参竹が出てきます。
コリコリした食感と、甘い風味が最高です。
あく抜きが不要なので、調理も楽。
パスタやソテーなど、洋食と相性がいいのも特徴です。

唐竹はちょっと苦味があるのが特徴。
でも、その苦味が大人になるとおいしさに変わるんですよね。
そのままお味噌汁に入れたり、あく抜きをして煮物にしたり、一般的なタケノコ料理に使われます。
種類が豊富で、出回る時期やそれぞれの食べ方を知っている鹿児島人は、きっとどこの誰よりも「タケノコ」に関しては得してますよね。
その時季でしか味わえない味を楽しみたいと思います。


※ 著:西ひろみ(鹿児島ホンモノの食研究家 / タレント)
※くろぶたねっと『もぎたて鹿児島丸かじり』第9回より抜粋


大名竹大名竹

古参竹古参竹

唐竹唐竹