鹿児島へいらっしゃ~い!鹿児島の地理・歴史をたずねる鹿児島フリーク「NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会」が語る、こだわりの鹿児島コラムをお楽しみください。おもしろいところがたくさんありますよ。

連載第3回 鹿児島市街の近代化遺産(2) -用途の変遷をへて残る遺産編-

掲載日2008/08/07 ライター:深見聡(ふかみさとし)

1975年、鹿児島市生まれ。2001年、NPO法人かごしま探検の会を設立し、2008年9月まで代表理事を務める。

2008年10月より、長崎大学環境科学部准教授。かごしま環境未来館などの市民講座の講師、長崎県美しいまちづくり審議会委員などを務める。鹿児島シティFMで毎週木曜18時過ぎからの番組内コーナー「鹿児島時空探訪」レギュラーゲスト。NPO法人かごしまライブカメラネットワーク副理事長。学術博士(観光学・人文地理学)。

鹿児島市は、11代藩主・島津斉彬による集成館事業に代表される近代化の歴史の宝庫を標榜する。一方で、薩英戦争・西南戦争・太平洋戦争と三度の戦禍に遭い、とくに1945年の空襲で市街地の90%以上を焼失した。しかし、力強く復興をとげた街なかに、戦火をくぐりぬけ今も現役で活躍するものもある。

鹿児島市街の近代化遺産をめぐる第2回目の今回は、今も現役で活躍するもののうち、当初の用途や姿をかえながらも新たな役割のもとで輝きを発している3箇所をめぐってみよう。

▼幕末維新期の石積と現代建築がマッチした鹿児島本港北埠頭(右奥がかごしま水族館)

幕末維新期の石積と現代建築がマッチした鹿児島本港北埠頭(右奥がかごしま水族館)

幕末維新期の護岸に守られて立つ水族館

1863年の薩英戦争で、ここに鹿児島湾沿いに配備された砲台の1つが置かれた。新波止は、斉彬の軍備拡張政策により造営され、火砕流が圧縮されてつくられた溶結凝灰岩を積石に使用している。鶴丸城の正面に位置していたことから、主力砲台として英国艦隊と対峙した。西南戦争のころに砲台は撤去され、その後は防波堤の役割を担ってきた。1985年以降に鹿児島本港北埠頭の埋め立てがすすみ、現在はかごしま水族館に面した護岸としてその姿をとどめている。

▼上之原導水用トンネル付近は知る人ぞ知る桜の名所でもある

上之原導水用トンネル付近は知る人ぞ知る桜の名所でもある

水道・市役所・歩道と歴史を刻んだトンネル

太平洋戦争末期、度重なる空襲の被害を避けるために、市役所が一時「移転」していたのがこのトンネル(1919年開通)。水源地側の入り口に、「碧泉通 大正八年十月 市長 山本徳次郎」の額面がかかっている。自動車用にしては小さく、歩行者や自転車が1人ずつすれ違えるほどの寸幅しかない。もとは、市街地への上水道整備のための水源地工事の際に、資材や工事関係者が通るために造られた。鹿児島市の近代水道事業は、1919年にここ上之原配水池を中心とする施設の完成によって幕を開けた。

また、空襲の戦火を逃れるために、市役所が一時避難してきたところでもある。移転時は、トンネル途中にさらに横向きに交差するトンネルを掘り、重要書類の保管と市の業務をおこなっていた。湿気で傷む書類も多く、乾燥作業に一苦労していたという。現在は、地域の人びとの生活道路として利用されている。

なお、当時の市長だった山本徳次郎は、増加する人口に対応するために市街地の拡大を実現した。現在、天文館の安全を守る地蔵角交番あたりから南林寺町に広がっていた南林寺墓地(約9万基)の改葬移転を完了させた。

次回からは、佳境に入りつつあるNHK大河ドラマ「篤姫」の主人公・天璋院篤姫にまつわるスポットをご紹介します。

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